インプラントに至るまで（１）

私は幼少の頃から虫歯が多く，頻繁に歯医者のお世話になっていた．幼稚園時代には，家から１時間以上かかる小児専門歯科へ通っていたほど．母が私の好むチョコレートを頻繁に与えていたうえ，あまり熱心に歯磨きをしなかったから，らしい．

乳歯が虫歯でも，永久歯が健全なら・・・と思うところだが，乳歯が虫歯になりがちだと永久歯も虫歯になりやすいようだ．科学的な因果関係はともかく，私は中学生ぐらいまでしばしば虫歯を作ってしまっていた．

今回，インプラントの対象になった右下６番大臼歯も，中学生時代に大穴を空けてしまい，神経を抜く処置まで行って被せ物をしていたのだった．

さすがに高校生を過ぎると歯医者と疎遠になった．しかし，活きていない歯，被せ物の歯はモノとして劣化してくる．被せ物が取れた，という程度なら良いのだが，大穴を開けた件の大臼歯は，ある日根元が割れてしまったのだ．

割れた，といっても竹を割るように垂直に割れるのであれば処置が可能なようなのだが，私の場合，歯根と歯冠の部分が割れて分離してしまったのだ．こうなると，歯茎の中に歯根だけが残ってしまう．社会人になってからの掛かり付け歯科医であったＳ先生の判断は，やはり抜歯．覚悟を決めて，３時間の抜歯作業で，歯根を全て除去した．

こうして，右下６番の位置にはぽっかりと隙間ができてしまったのだった．